基礎試験

日本語教員試験の基礎試験対策

基礎試験は、暗記量だけでなく、5区分・49項目の基礎を教育実践と結び付けて理解することが重要です。公式の出題範囲とおおよその割合を起点に、現在地を確認してから学習の順番を決めましょう。

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受験科目を先に確認してください

資格取得ルートによっては基礎試験が免除されます。学習を始める前に、年度の試験案内と自分のルートを照合してください。合否と免除の最終判断には、受験年度の公式案内を使います。

基礎試験の基本構成

試験時間・問題数
120分・100問令和8年度は選択式、1問1点です。
出題のまとまり
5区分必須の教育内容を区分ごとに確認します。
合格基準
各区分6割程度+総合8割程度年度ごとの難易度差などで調整されることがあります。
出題範囲
養成課程コアカリキュラム教育実習を除く必須の教育内容が基準です。

5区分とおおよその出題割合

基礎試験の5区分(令和8年度試験案内)
区分おおよその割合学習時に確認する観点
社会・文化・地域約1〜2割社会・文化、在留外国人施策、多文化共生、日本語教育の歴史と現状
言語と社会約1割社会言語学、言語政策、待遇・敬意表現、言語・非言語行動
言語と心理約1割談話理解、言語習得、学習ストラテジー、異文化受容・適応
言語と教育約3〜4割コースデザイン、教授法、教材、評価、授業計画、ICT、著作権
言語約3割言語学、音韻・音声、文字・語彙・文法・意味・語用、コミュニケーション能力

ここで示される割合は「おおよそ」です。特定の用語集だけを覚えるのではなく、公式コアカリキュラムの到達目標まで読み、「その知識を日本語教育でどう使うか」を説明できる状態を目指します。

49項目を教育実践につなげて理解する

次の「理解チェック」は、当サイトが学習の振り返り用に作成したものです。公式問題や出題予想ではありません。項目名を再生できるかだけでなく、観察した事実から教育上の判断へ進む過程を自分の言葉で説明できるか確かめてください。

5区分・49項目の理解と教育実践への接続
区分(項目数)何を理解するか教育実践へどう結ぶか理解チェック
社会・文化・地域(7項目)世界と日本の社会と文化、在留外国人施策、多文化共生、日本語教育史、言語政策、日本語の試験、世界と日本の日本語教育事情を、時点と地域を区別して捉える。学習者の移動・生活・就労・進学などの背景を決め付けずに確認し、地域の学習機会や相談先、目的に合う試験など、現在の一次情報へつなぐ。制度や統計は公表日と対象範囲も確かめる。同じ『日本語を学びたい』という相談でも、生活、就労、進学で必要な情報がどう変わるか説明できるか。古い制度情報を見つけたとき、どの公的機関の何を確認するか言えるか。
言語と社会(6項目)社会言語学、言語政策とことば、コミュニケーションストラテジー、待遇・敬意表現、言語・非言語行動、多文化・多言語主義を関連付ける。表現を一律に『正しい・失礼』と判定せず、相手との関係、場面、目的、媒体、声や視線などを観察する。複数の表現と会話方略を示し、学習者が社会参加のために選べるよう支える。同じ依頼表現が相手や場面によってどう受け取られ得るか説明できるか。会話が止まった場面で、聞き返し・言い換え・確認などの方略を複数提案できるか。
言語と心理(6項目)談話理解、言語学習、第一言語・第二言語の習得過程、学習ストラテジー、異文化受容・適応、学習・教育の情意的側面を区別しながら関連付ける。誤用や沈黙を能力不足と即断せず、課題、学習歴、理解過程、使用した方略、不安や動機、学習環境など複数の可能性を立てる。追加の観察や対話を通じて、足場掛けと自律学習の方法を調整する。観察できた事実と原因についての仮説を分けて記録できるか。学習者に合う方略を選ぶため、次に何を尋ね、どの活動で確かめるか説明できるか。
言語と教育(16項目)教師の資質・能力、教育プログラム、教室・言語環境、コースデザイン、教授法、教材、評価、授業計画、中間言語分析、授業分析、目的・対象別教育、異文化間教育、異文化コミュニケーション、コミュニケーション教育、ICT、著作権を一つの設計過程として捉える。ニーズから目標・活動・教材・評価を一貫させ、授業後の記録から改善する。対象や環境に応じて方法を選び、教材の権利、ICT利用時の個人情報や利用条件、参加しやすさも確認する。一つのニーズから到達目標、活動、評価方法を筋道立てて組めるか。教材を使う前に出典・利用条件・改変可否を確認し、授業後にどの証拠で改善点を判断するか言えるか。
言語(14項目)一般言語学、対照言語学、日本語分析、音韻・音声、文字・表記、形態・語彙、文法、意味、語用に加え、受容・理解、言語運用、社会文化、対人関係、異文化調整の各能力を捉える。学習者の産出を音・文字・語・文・意味・使用場面のどこで捉えるか切り分け、形式・意味・使用の関係を示す。言語間の違いは原因と決め付けず、指導仮説を作る材料として扱う。一つの発話について、観察できる言語形式、場面における意味、相手への働き掛けを分けて説明できるか。訂正だけでなく、実際の課題を達成するためのフィードバックを提案できるか。

学習を始める5つの手順

  1. 公式の出題範囲を一覧で確認する

    5区分、15の下位区分、必須の教育内容の関係を確認します。教材の目次と公式範囲を照合すると、抜けを見つけやすくなります。

  2. 区分ごとに現在地を記録する

    公式サンプルや手元の確認問題を使い、正答数だけでなく、根拠を説明できるかを区分別に記録します。

  3. 弱い区分の基礎語をつなげる

    用語、具体例、教育場面の3点を一組にします。似た概念は比較表にして、違いを自分の言葉で説明します。

  4. 区分をまたぐ問いに直す

    たとえば誤用を、文法だけでなく習得過程、フィードバック、授業計画と関連づけて考えます。応用試験への橋渡しにもなります。

  5. 時間を測って再確認する

    知識が定着してから、限られた時間で根拠を選ぶ練習に移ります。誤答は区分と原因を記録し、次の復習対象に戻します。

自作ミニ演習で「知識→判断」をつなぐ

以下は、用語を教育場面へ結び付けるために当サイトが作成した練習例です。公式問題の転載や出題予想ではありません。答えの記号を覚えるのではなく、観察できる事実と判断根拠を説明してみてください。

当サイト作成のミニ演習

地域の学習機会を現在の情報で案内する

来日したばかりの学習者から『平日の夜に参加できる地域の日本語教室と、生活上の相談先を知りたい』と相談されました。教師の手元には2年前の教室案内があります。最初の対応として最も適切なものはどれですか。

  1. 手元の案内は日本語教室の情報なので、更新状況を確認せずに渡す
  2. 本人の居住地・希望時間・目的を確認し、自治体などの現在の公式情報で教室と相談窓口の対象・日時を照合する
  3. 生活相談は日本語学習と無関係なので、試験対策教材だけを紹介する
  4. 同じ国の出身者なら必要な支援も同じだと考え、以前の学習者と同じ場所を指定する
答えと考え方を見る
B:本人の条件を確認し、現在の公式情報で照合する

学習者の背景や必要性を決め付けず、地域社会との接点と現行の在留外国人施策・多文化共生の情報を結び付けます。古い案内は、日時や対象が変わっている可能性があるため、発行主体の一次情報で更新状況を確かめます。関連する区分は主に「社会・文化・地域」です。

公式問題の転載や出題予想ではありません。知識を教育場面へ結び付ける練習用の自作例です。

当サイト作成のミニ演習

待遇表現を場面と関係から考える

職場のロールプレイで、学習者が忙しそうな上司に『ちょっと待って』と言い、相手役は強い言い方だと感じました。振り返りで教師が最初に行うこととして最も適切なものはどれですか。

  1. この表現はどの場面でも失礼だと説明し、使用を禁止する
  2. 相手との関係、依頼の内容、緊急性、声や視線を確認し、場面に合う複数の表現と非言語行動を比較する
  3. 学習者の性格が原因だと判断し、言語活動は扱わない
  4. 敬語の形だけを暗記させ、相手の反応や会話の目的は検討しない
答えと考え方を見る
B:関係・目的・状況を確認し、複数の選択肢を比較する

待遇表現の受け取られ方は、文の形だけでなく、人間関係、場面、目的、声の調子や視線などとも関わります。観察できる条件と相手の反応を整理し、会話の目的を達成できる選択肢を増やします。関連する区分は主に「言語と社会」です。

公式問題の転載や出題予想ではありません。知識を教育場面へ結び付ける練習用の自作例です。

当サイト作成のミニ演習

沈黙から原因を即断しない

ある学習者は全体での話合いではほとんど発言しませんが、授業後の記述では内容を正確に整理し、二人で話す活動では発言しています。教師の次の対応として最も適切なものはどれですか。

  1. 全体で発言しないため、内容を理解していないと確定する
  2. 場面ごとの様子を記録し、本人にも負担や準備方法を確認して、事前メモやペア活動から全体共有へ進む支援を試す
  3. 毎回最初に指名すれば必ず解決すると考え、他の情報は集めない
  4. 記述と対話の結果は考慮せず、発言回数だけで学習成果を評価する
答えと考え方を見る
B:複数の場面を観察し、本人との対話を通じて支援を調整する

沈黙だけから理解度、不安、動機などの原因は確定できません。すでに観察できた場面差を手掛かりに本人の認識を確認し、準備時間や参加形態を調整して変化を確かめます。事実と仮説を分ける練習で、関連する区分は主に「言語と心理」です。

公式問題の転載や出題予想ではありません。知識を教育場面へ結び付ける練習用の自作例です。

当サイト作成のミニ演習

形成的評価の目的を見分ける

全8週の授業の第4週に、教師が短いロールプレイを実施しました。結果を見て、翌週の復習内容と活動の進め方を調整します。この評価の主な目的として最も近いものはどれですか。

  1. 受講前のクラス分けだけに使う
  2. 学習途中の状態を把握し、その後の指導を改善する
  3. コース修了時の最終成績だけを確定する
  4. 教育機関全体を外部から認証する
答えと考え方を見る
B:学習途中の状態を把握し、その後の指導を改善する

授業の途中で学習状況を確認し、次の指導へ反映しているため、形成的評価として整理できます。「いつ実施したか」だけでなく、「結果を何に使うか」を根拠に判断します。関連する区分は主に「言語と教育」です。

公式問題の転載や出題予想ではありません。知識を教育場面へ結び付ける練習用の自作例です。

当サイト作成のミニ演習

誤用から観察できる事実を分ける

学習者が「きのう、駅で先生を会いました」と発話しました。元の意図を保った訂正として適切なものはどれですか。

  1. きのう、駅で先生に会いました
  2. きのう、駅を先生に会いました
  3. きのう、駅が先生を会いました
  4. きのう、駅で先生が会いました
答えと考え方を見る
A:きのう、駅で先生に会いました

「会う」の相手は助詞「に」で示します。この発話から直接確認できるのは助詞の選択であり、母語の影響や学習歴が原因だとは発話だけでは断定できません。まず言語形式を記録し、その後に習得過程や指導方法を検討します。

公式問題の転載や出題予想ではありません。知識を教育場面へ結び付ける練習用の自作例です。

理解度別の優先順位

初めて全範囲を学ぶ場合

まず5区分を一巡して全体像を作り、その後に問題演習へ進みます。「未学習」「説明に迷う」「問題で迷う」を分けて記録してください。

学習歴があり、得点が変動する場合

誤答を知識不足、用語の混同、問題文の読み違いに分けます。同じ区分で誤答が続くなら、問題数を増やす前にコアカリキュラムの到達目標へ戻ります。

基礎が安定している場合

基礎知識を教育実践の判断につなげます。応用試験・聴解の対策と並行し、「何が起きているか」「どの知識が根拠か」「教師として何を選ぶか」を言葉にします。

次に進む前の確認

  • 5区分の名称と、自分の弱い区分を説明できる
  • 公式の必須の教育内容と、使っている教材の対応を確認した
  • 正答・誤答だけでなく、判断根拠を記録している
  • 公式サンプル問題を模擬的に解く回と、分析する回を分けている
  • 残り期間別の学習計画を定期的に更新している

次にやること

基礎知識を応用試験の判断へつなげる

5区分の基礎を押さえたら、読解・聴解で教育場面の事実と根拠を結び付けます。

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